固定資産に関する税務処理①~固定資産の分類と計上~

公認会計士の国近です。
今回のテーマは固定資産に関する税務処理についてです。

ただ、単純に固定資産といっても、論点が多岐にわたるため、基本的ながら今回は固定資産の定義・土地・建物の計上や分類という点にフォーカスして執筆したいと思います。

1.固定資産の定義

まず、固定資産とはどのようなものを指すのでしょうか。
法人税法2条二十二、2条二十三及び法人税法施行令13条によると固定資産・減価償却資産に関する定義は、棚卸資産、有価証券及び繰延資産以外の資産のうち、以下の通りとなっています。

【固定資産】
土地(土地の上に存する権利を含む。)、減価償却資産(※)、電話加入権その他の資産で政令で定めるものをいう。

【※減価償却資産】
建物、構築物、機械及び装置、船舶、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で償却をすべきものとして政令で定めるものをいう。

つまり、土地(土地の上に存する権利(例えば、借地権・地上権)を含む)、建物、構築物、機械及び装置、船舶、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権、その他が固定資産に該当することとなります。

その他の固定資産としては、例えば、無形固定資産の電話加入権(償却不可)が挙げられます。

2.固定資産の分類と計上

取得した資産が、固定資産に該当するのか、該当する場合にどの固定資産に該当するのかという点は、償却方法・耐用年数に関係するため、非常に重要です。

例えば、器具及び備品に該当するものとして取り扱って償却を行ったものの、建物附属設備と認定される、建物附属設備に該当するものとして取り扱って償却を行ったものの建物として認定される、などした場合、償却超過と認定される可能性があり、税務リスクが生じます。

ただ、実務上、固定資産がどの固定資産に分類されるかについて、判定が容易なものもあれば、判定が困難なものもあります。

また、法人税法施行令54条によると、固定資産の取得価額として計上すべき金額は、購入代価+直接要した費用の額となっており、資産自体の金額の他、付随費用についても固定資産として計上すべきこととなっています。

-------抜粋-----------
第五十四条 減価償却資産の第四十八条から第五十条まで(減価償却資産の償却の方法)に規定する取得価額は、次の各号に掲げる資産の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
一 購入した減価償却資産 次に掲げる金額の合計額
イ 当該資産の購入の代価(引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税(関税法第二条第一項第四号の二(定義)に規定する附帯税を除く。)その他当該資産の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)
ロ 当該資産を事業の用に供するために直接要した費用の額

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ただ、法人税基本通達7-3-3の2では、「固定資産の取得価額に算入しないことができる費用」が例示されており、これらの費用について損金計上すれば税務上の恩恵を受けることが出来る可能性があります。

以下では、土地・建物等について、挙げていきたいと思います。

3.土地の分類と計上

土地の取得価額は、原則的には他の資産と同様、土地自体の金額+付随費用となります。

従って、土地を取得するにあたって支出した仲介手数料などある場合は、土地の取得価額に含める必要があります。
また、法人税基本通達7-3-5によると、法人が土地・建物等の取得に際し、当該土地・建物等の私用者等に支払う立退料等は当該土地・建物等の取得価額に算入するとされており、土地の取得価額に含める必要があります。

ただし、法人税基本通達7-3-3の2によると、不動産取得税・登録免許税は取得価額に算入しないことができる費用として例示されており、これら費用は付随費用に含めず、損金計上可能となります。

4.建物・建物附属設備の分類と計上

建物の取得価額は、原則的には他の資産と同様、建物自体の金額+付随費用となります。

また、土地と同様、建物の取得に関して支払った仲介手数料などある場合には、建物の取得価額に算入されることとなります。

土地との大きな違いとして、土地は減価償却されませんが、建物については減価償却がなされ、また、建物に分類されるのか、建物附属設備に分類されるかによって耐用年数が変わり、耐用年数に応じて減価償却金額も変わることとなります。

従って、取得した資産が建物に分類されるのか、建物附属設備に分類されるのかという点についても、非常に重要な点となります。

※建物附属設備とは、暖冷房設備、照明設備、通風設備、昇降機その他建物に附属する設備をいう(法人税法施行令13条)

新しく建設した建物について、建物本体と暖冷房設備・昇降機などの建物附属設備に区分した場合は、建物附属設備については、一般に建物よりも短い耐用年数を適用できるため有利となる可能性があります。

ただし、建物本体及び建物附属設備を区分せずにすべて建物として減価償却を行う場合、長い建物の耐用年数で減価償却される結果、減価償却費が少なくなり不利になる可能性があります。

従って、税務上の恩恵をうけるためには、建物を取得した場合には、建物本体・建物附属設備を区分して計上することが重要となります。

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