持続化給付金(100-200万円給付金)、感染拡大防止協力金(休業協力金)、特別定額給付金(10万円給付金)は税金がかかる?

こんにちは、公認会計士・税理士の国近です。

新型コロナウィルスが猛威を奮っており、私達の生活や仕事などに様々な影響がでています。

2020/4/30に補正予算が成立し、2020/5/1からは①持続化給付金(個人事業主上限100万円、法人200万円上限)の申請がスタートするなど政府から支援策が拡充されてきています。
持続化給付金の概要(経済産業省HP)
持続化給付金の申請はこちらから(「持続化給付金」事務局HP)

他にも、休業した際に受給される②感染拡大防止協力金(いわゆる休業補償金)や、国民全員に給付される③特別定額給付金(10万円給付金)などの給付金があります。
感染拡大防止協力金の概要(東京都HP)
特別定額給付金の概要(総務省HP)

弊社でもお客様よりお問い合わせを数多く頂いておりますが、これらの給付金を受給した際には税金はかかるのでしょうか
今回は給付金を受給した際の課税関係について書きたいと思います。

1.持続化給付金、感染拡大防止協力金(休業協力金)、特別定額給付金(10万円給付金)にかかる税金

結論から書きますと、各給付金にかかる税金は以下の通りです。
※①持続化給付金及び②感染拡大防止協力金(休業協力金)の消費税の取り扱いについては(4)をご参照ください

給付金 法人税
※法人の場合のみ
所得税
※個人の場合のみ
消費税
持続化給付金
(上限100万円-200万円)
課税
(益金算入)
課税
(総収入金額に算入)
※不課税
(課税対象外)
感染拡大防止協力金
(休業協力金)
課税
(益金算入)
課税
(総収入金額に算入)
※不課税
(課税対象外)
特別定額給付金
(10万円給付金)
非課税 ※不課税
(課税対象外)

(1)持続化給付金の法人税・所得税

法人が持続化給付金を受給した際には、法人税の益金に算入され、課税対象となります。
また、個人が持続化給付金を受給した際には、所得税の総収入金額に算入され、課税対象となります。
※持続化給付金に関するよくあるお問合せ(経済産業省HP)
Q15.持続化給付金は課税の対象となるのか。

(2)感染拡大防止協力金(休業協力金)の法人税・所得税

感染拡大防止協力金(休業協力金)については、東京都から国に対して非課税にするよう要望がありましたが、(1)の持続化給付金と同様、法人税・所得税の課税対象になっています。

つまり、法人が感染拡大防止協力金(休業協力金)を受給した際には、法人税の益金に算入され、課税対象となります。
また、個人が感染拡大防止協力金(休業協力金)を受給した際には、所得税の総収入金額に算入され、課税対象となります。
※感染拡大防止協力金における税務上の取扱いについて(東京都産業労働局HP)
感染拡大防止協力金における税務上の取扱いについて

(3)特別定額給付金の所得税

特別定額給付金は国民個人に対して10万円を支給されます(法人への給付がないため、法人税は関係ありません)。
特別定額給付金については、課税対象とならない旨公表されており、非課税となります。
※特別定額給付金(総務省HP)
問23 特別定額給付金は、課税対象となりますか。

(4)給付金(持続化給付金・感染拡大防止協力金(休業協力金)・特別定額給付金)の消費税

消費税法上、給付金は一般的に対価性が無いことから、課税されないことが規定されています。そのため①持続化給付金、②感染拡大防止協力金(休業協力金)及び③特別定額給付金についても不課税として課税対象外として取り扱われるものと考えられます
No.6157 課税の対象とならないもの(不課税)の具体例

※2020/5/6執筆日現在、公式には、消費税の取扱いは言及されていません。基本的に不課税として扱われるものと理解していますが、別途、取扱いが定まれば、その取扱いに従ってください。
※①持続化給付金及び②感染拡大防止協力金(休業協力金)は売上補償的な側面もあり、万が一その性質から対価性があるとされた場合、課税対象との整理になる可能性はあります(正直、考えにくいですが…)

2.では、実際に持続化給付金、感染拡大防止協力金(休業協力金)、特別定額給付金(10万円給付金)には課税されるのか?

①持続化給付金及び②感染拡大防止協力金(休業協力金)については、法人税・所得税の計算上益金・総収入金額に算入され、課税されることとなります。
一方、③特別定額給付金については非課税となります。

①持続化給付金及び②感染拡大防止協力金(休業協力金)については、厳しい状況にある経営者や個人事業主に給付するにもかかわらず、課税対象となるのは趣旨に反するのではないか。。。という批判的な意見も耳にします。
では、実際のところ①持続化給付金及び②感染拡大防止協力金については課税されるのでしょうか。

この点に関しては、通常と同じように、所得計算を通じて税金計算がなされます。つまり、当年度(今年)の益金(総収入金額)を一定とすると、当年度(今年)の損金(個人では必要経費)が多いほど課税所得は少なくなります。
もし、給付金を含めた当年度(今年)の益金(総収入金額)よりも必要経費や損金の方が多い場合、赤字となり課税所得は生じず、結果的にこの給付金に対しても課税はされません

給付金が課税対象ということで、受給した金額そのものに対して課税されるかのような誤解を受けることがありますが、法人税・所得税はあくまで「所得」に係る税金のため、結果として赤字であれば課税はされないということですね。

国からしたら、結果として黒字になるのであれば、税金の支払能力はあるから税金を支払ってください、と考えることは致し方ないのかもしれませんね。
(ただ、事業者からすると給付金が課税対象であることは冷たい対応と感じるかもしれません。。。。)

3.まとめ

①持続化給付金及び②感染拡大防止協力金(休業協力金)については、法人税・所得税の計算上益金・総収入金額に算入され、課税されることとなります
③特別定額給付金は所得税が課税されません
消費税については、①持続化給付金、②感染拡大防止協力金(休業協力金)、③特別定額給付金のいずれも不課税取引となると考えられます。
・①持続化給付金及び②感染拡大防止協力金(休業協力金)についても、所得が赤字であれば、課税されません

日々状況が大きく変わっていく中、大変な状況にある事業者は多いと思いますが、給付金や融資など必要な申請を行い、何とか乗り越えていければと思います。

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