消費税①~消費税のしくみの概要~

こんにちは、公認会計士・税理士の国近です。

2019年10月の消費税率の引き上げ、軽減税率の導入にもそろそろ慣れてきた頃でしょうか。一方で、2023年には「適格請求書等保存方式」の導入も開始される予定となっており、導入の際には各社対応が必要と想定されます。

今回のテーマは消費税についてです。

消費税は身近な税であると同時に税務調査においても論点になりやすい税でもあります。今回は総論的に消費税の概要と特徴という点にフォーカスします。

1.消費税の概要

消費税とはどのような税金でしょうか。消費税の概要については、「消費税のしくみの概要」として国税庁ホームページで次の通り記載されています。

消費税のしくみの概要

『(平成31年4月1日現在法令等)

消費税は、特定の物品やサービスに課税する個別消費税とは異なり、消費に広く公平に負担を求める間接税です。

消費税の課税対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、貸付け及び役務の提供と外国貨物の引取りです

この消費税は、生産及び流通のそれぞれの段階で、商品や製品などが販売される都度その販売価格に上乗せされてかかりますが、最終的に税を負担するのは消費者となります。』

以下では「間接税」「課税対象」「担税者と納税者」の3つに分けて解説します。

(1)間接税

まず、「消費税のしくみの概要」の前段について、解説します。

『消費税は、特定の物品やサービスに課税する個別消費税とは異なり、消費に広く公平に負担を求める間接税です。』

消費税の特徴として、「直接税」ではなく「間接税」である点が挙げられます。

間接税とは、担税者(税負担をする者)と納税者(納税をする者)が異なる税を言います。例えば、コンビニで消費者が商品を購入するケースを考えてみましょう。消費者がコンビニに支払った消費税は一度コンビニが預かります。それを最終的にコンビニ(正確にはコンビニを経営する事業体)が国へ納めることとなります。一方で、担税者と納税者が同じものを直接税と言います。

以下に参考として間接税と直接税の一例を記載します。

間接税:消費税・たばこ税・酒税
直接税:所得税・法人税・相続税

(2)課税対象

次に、「消費税のしくみの概要」の中段について、解説します。

『消費税の課税対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、貸付け及び役務の提供と外国貨物の引取りです』

消費税の課税の対象は「国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、貸付け及び役務の提供」という要件をすべて満たしたものとなります。これを満たさないものは「不課税取引」といい、消費税の計算の対象とはなりません。

「国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、貸付け及び役務の提供」という要件については、以下の4要件に区別することができますが、詳細は次回以降の記事に譲りたいと思います。

①:国内において
②:事業者が事業として
③:対価を得て行う
④:資産の譲渡、貸付け、及び役務の提供

(3)担税者(消費者)と納税者(事業者)

最後に、「消費税のしくみの概要」の後段について、解説します。

『この消費税は、生産及び流通のそれぞれの段階で、商品や製品などが販売される都度その販売価格に上乗せされてかかりますが、最終的に税を負担するのは消費者となります。』

最初に記載した通り消費税は間接税のため、担税者と納税者が異なり、消費者が消費税を負担しますが、消費税を納付するのは事業者となっています。

上図は、取引の流れと消費税額を示した図となります。

例えば、税抜500円の商品を小売店から消費者が買ったとき、税率10%の場合、消費税は50円となります。

消費税50円を小売店がそのまま全額納税しているのかというとそういうわけではありません。というのも小売店は通常商品の仕入れ時に消費税を支払っているためです。

例えば、小売店が商品を税抜200円で卸問屋から仕入れた場合、20円の消費税を卸問屋に支払っています。ここで、仮に、小売店が消費者から預かった消費税50円全額を納税すると小売店は20円の消費税を負担することとなってしまいます。

同様に、卸問屋が生産者から税抜50円、消費税5円で商品を仕入れていた場合、卸問屋もまた小売店から預かった消費税20円全額を納付すると5円の消費税を負担することとなってしまいます。

そのようなことが起こらないよう消費税の納付税額は「預かった消費税 - 支払った消費税」で算出されます(厳密には端数計算や地方消費税の算出もするためこの金額とは違ってきます)。上記の例の場合、消費者は消費税50円を負担しており、小売店は50円―20円=30円を納付し、卸問屋は15円を納付することとなります。

消費者の納付した50円を小売店と卸問屋がそれぞれが納付することとなるのです。

この仕組みを「多段階累積控除」と呼びます。

2.その他の特徴

・消費税と地方消費税

一般的に消費税と呼ばれている10%(軽減税率8%)の税金とは「国税である消費税」と「地方税である地方消費税」の合算となっています。「国税である消費税」と「一般に使われる消費税」という単語を区別するために、地方消費税を含んで「消費税等」と「等」として表記されることもあるようです。
(正式な文章や法律では定義は見つけられませんでした)

ちなみに、2019年12月現在の税率は以下の通りです。

標準税率:消費税率7.8% 地方消費税率2.2%      合計10%
軽減税率 消費税率6.24% 地方消費税率1.76%    合計8%

消費税の申告書の作成時には消費税を計算した後に、その消費税を基に地方消費税を計算します。

3.まとめ

・消費税には消費税と地方消費税が存在する
・消費税は担税者と納税者が異なる間接税である
・消費税は以下の4要件をすべて満たした取引に課税される
①:国内において
②:事業者が事業として
③:対価を得て行う
④:資産の譲渡、貸付け、及び役務の提供
・消費税の税負担は消費者が行うが納税者が二重に課税されないよう多段階累積控除という方法が採られている。

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